死と何か? 完全翻訳版を読みました

 

 少し気になっていたので、読んでみました。

 さすがに大部で骨は折れましたが、幸読みやすい文体で何とか最後まで読み切りました。

 

 最後の著者の主張、人間はただの機械に過ぎない…テレビやPCと同じように壊れたら動かなくなるのみだ。死に深淵なところなど何もない。という(物理主義者であれば)当たり前ところで感激するとは思われなかったが、基本的立場が近い(私は義務論より基本は功利主義論という当りで若干立場は相違するが)ためか抵抗はない一方あまりおおー!!という者は少なかった(何個かはあった。特に説明の方など大変秀逸)。

 ただ、否定しようとした一般的観点はなるほどと思うし、時々神学的内容が出てくるのもアメリカらしいという感じだ。

 日本とはまた違った感じが多いのは翻訳書だからだろう。

 

 得られる結論は、「人間はただの機会に過ぎない、死には何も深遠なものはない」というなんとも拍子抜けといえばそうだし、学部向け故、細かい(深い)哲学的議論は丸めている。ただ、これはこれで良いだろう。

 読んでどう思うかは、評価は非常に分かれると思うが、一読の価値はあるといえばあるかもしれない。

 

 もしかするとは私は読むべき時ではなかったのかもしれない。そのうち、本書の偉大さ、素晴らしさに気がつくことがあるかもしれない。

 ただ、最近読んだ多くの大部の経済学書に比べるとイマイチであったのも事実。

 

 うーん、苦労して読んだ割に微妙といえば正直微妙。コスパには、少なくともお値段対ページ数では優れるが、読むコストと得られる内容はどうだろうか(得られる内容がないというわけではない。あるが、コスパ的に)。

 

 ベストセラーで名声が高い本が必ずしも万人に合うというものではないという一例か(困ったことに著者の意見に反対だからでは無く、ほとんど肯定で、くどくど異論を出されることに若干辟易、で、最後は妥当としか思えない結論。というのは説得としては分かるし参考になるのだが、ほとんどのところで同じ立場の人間からするとあまり・・・)。

 

 とりあえず、なんだかんだ一苦労(といっても大変読みやすい本ではあった)だったので、読み終えることが出来て良かった良かった・・・。

 

 また、読むこともあるだろう。その時はもっと感動するかもしれない。