【一押し】殺人ザルはいかにして経済に目編めたか?

 私が一押ししても意味が無いと思うが(苦笑)

 

 紛れもなく名著だと思う。

 極めて優れた経済学的名著だといえ、一種の経済史分野においてダグラス・ノース級の著作といえると思う。

 現在の制度を一貫して信頼と協力、分業・視野狭窄といったキーワードでまとめており、それを約1万年の歴史に適応している。

 隣人との関係をどうするかが、1万年前からの課題であり、それをいかにすべきか、その為に各種制度が生まれ、信頼を増強させる。ただし、これは上手くいきすぎると視野狭窄を増強し、結局小さなほころびが全体的崩壊へとつながる。パラドックス的状況は他にも「弱者による強者の搾取」でもあらわれているが非常に面白い。

 読むのが大変ではあったが、非常に勉強になったし、経済的ツールの応用というか、こういうことかというのがよくわかった本。

 勿論、これはある視点を持った、歴史と言うよりも経済の本であり、視点には異論もあるだろうと思う。それでもある視点から見た極めて一貫した経済史であり、現在へのインプリケーションも含めて極めて素晴らしいといえるだろう。

 現在継続中の「大いなる実験が上手くゆき」続けるか、この信頼という視点から世相を見てゆくのも良いと思う。