消えゆく大日本帝国、復活しつつある大日本帝国 二つの帝国 再論

消えゆく大日本帝国、復活しつつある大日本帝国 二つの帝国 再論

 

以前同タイルで投稿している

 

penginsengen.hatenablog.com

 

 

ロシア・ウクライナ情勢で、過去の大日本帝国満州国を考えてみると良いのでは無いかと投稿したが・・・

 

 

penginsengen.hatenablog.com

 

 改めて、論考を再論しようと思う。

 

 勿論タイトルは二つの軍国主義のパロディーであり、ハード的な大日本帝国主義とソフト的(思想的)な大日本帝国主義二つの側面から、前者(軍事力、経済力の観点から)は見る影もないほど没落中でこの調子では「昔~昔、あるところに大日本帝国という最後はほぼ全世界を相手に世界大戦を戦った国がありました・・・」と語りはじめても、日本人自身もそれが事実だとはわからないほどの状況になるだろう。

→「うそ~、こんな極東の小国が!?」という反応になるだろう。

 ロシアならまだわかるが・・・(と先日の国連を見ても、まさに大日本帝国化しているぞロシア・・・)となるだろう。

 

 が、ソフト面ではますます大日本帝国化がすすんでいる。

 

 いや、もう若い人には「大日本帝国」というものすらファンタジー世界の産物、艦これ等に登場する架空国家ないしゲームの中の話となるだろう。実在性が忘却されつつある。

 

 が、だからこそソフト面での大日本帝国化は留意する必要性があると思う。

 

 まず、このコロナ禍も含めてますます日本の没落は決定的となった。経済ダメージは諸外国と比べても大きい方である反面、実死者数は必ずしも上位ではない。高齢化が進んで脆弱性が増している中では健闘しているといえる。

 しかし、逆にいえばこの程度でも経済の落ち込みは激しく、医療崩壊も瀬戸際(現場の健闘はまさに素晴らしい)、限界が見えてきている。現場の奮闘で何とかするのも大日本帝国らいしいが、それは従前からでありまた、ハード面でも同じなのでそこはさておき、もはや衰退途上国であり、技術先進国でも先進的な何かを持っている国でもないことは明瞭となった。ワクチンは未だに開発できず(中国・ロシアは一応の旧式タイプとはいえ完成させた…そして日本は未だにだ)、何もかも後手後手。治療薬が開発できそうなのは朗報だが、デジタル化も世界低位で推移し、政治面でもこれといったものがない。まあ、イギリスやアメリカも大概だが・・・。

 

 もはや失われた30年は必至であり、軍事力で負けたものを経済で取り返す!ということはほぼほぼ不可能となった。

 

 そんな中、一部のナショナリストたちは陰謀論やヘイト、明後日の方向に進撃中だがどうにもならないだろう。技術戦で勝てないので文化戦や歴史戦を挑んでいるようだが、よい結果は生まないだろう。そもそも歴史修正主義大義はない。先人たちにも失礼この上なく、本物の大日本帝国の(わずかばかりの)栄光すら葬り去る愚挙だといえるだろう。

 

 いちいち根拠引用はしないが、戦前と戦後の連続性はつとに指摘される通り、結局戦時経済体制・総力戦体制を経済戦争に振り向けた戦後日本はある意味大日本帝国そのもといえた、それはバブル期の狂騒のなかでも発揮された。

 

 国粋主義者たちは軍事力ではなく経済力で「世界に名だたる日本」を目指したといえ、その限りでは潜在するのみでそれほど表立つ必要性がなかった。例えば、経済だけといわれても経済のみがあればそれでよかったともいえた。軍事的にも実はアメリカのパートナーとして極東では大きな存在感もあった。

 

 が、これは第三の敗北とも言われる1990年代=失われた30年が始まったころ以降徐々に変化した。

 

 極東のパワーバランスは軍事・経済双方で中国が台頭。一方、冷戦が終わった事でアメリカからも相応の負担を求められ、お金を出しても評価されないという事態にも直面した(湾岸戦争)。

 

 デジタル敗戦により、徹底後退した日本と台頭する中国。この関係性の中で極東ですら力関係が変わっていった。

 ついにGDPでは中国に抜かれ、頼みの技術関係も中国がデジタル系中心に優位となりつつある。もっとも人口差を考えれば当然といえば当然だ。論文数や上位引論文でも敗北しつつあるが、人の数を考えればそこはやむ得ないだろう。

 とはいえ、あらゆる面での地盤沈下は特に国粋主義者ナショナリストには耐えがたいだろう。

 

 その為1990年頃から反動主義や歴史修正主義陰謀論も大流行で中国崩壊論も数多く、現在もだが本屋の「政治」コーナーは「罵倒」コーナーとなってしまった。ことごとく罵倒だらけ(これは左派、グローバリスト、リベラリストもある程度同様)となってしまった。

 

 失われた30年と共に、日本人自体の方向性をも失ってしまったのだろう。

 なぜなら失われたのは「過去」ではなく「未来」・・・いや「希望」だったといえたのだから。

 失われた30年は単に失われたのみならず未来に向かって「希望」を消失させた。

 もはや、衰退が続き続ける未来しか予測ができない。

 その閉塞感とリンディ効果※的な、いやマタイ効果※※的な効力により衰退は継続しつづけ加速して行く。

 ※リンディ効果

 年齢に応じて平均余命が長くなること、ここでは衰退トレンド続けば続ほど以降の衰退も長くなるという比喩

 詳細はこちら↓

https://ichi.pro/rindhi-koka-gainen-to-sugaku-47651175990586#:~:text=%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E5%8A%B9%E6%9E%9C%E3%81%AF%E3%80%81%E8%85%90%E3%82%8A%E3%81%AB%E3%81%8F%E3%81%84%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%AE%E5%B9%B3%E5%9D%87%E4%BD%99%E5%91%BD%E3%81%8C%E5%B9%B4%E9%BD%A2%E3%81%A8%E3%81%A8%E3%82%82%E3%81%AB%E5%A2%97%E5%8A%A0%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E8%80%83%E3%81%88%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82,%E5%B9%B4%E9%BD%A2%E3%81%8C%E9%AB%98%E3%81%84%E3%81%BB%E3%81%A9%E3%80%81%E7%94%9F%E3%81%8D%E6%AE%8B%E3%82%8B%E5%8F%AF%E8%83%BD%E6%80%A7%E3%81%8C%E9%AB%98%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82%20%E8%85%90%E3%82%8A%E3%81%AB%E3%81%8F%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E7%A7%81%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%8C%E6%A4%9C%E8%A8%8E%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%8C%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%AF%BF%E5%91%BD%E3%81%AB%E6%9C%89%E6%A9%9F%E7%9A%84%E3%81%AA%E5%88%B6%E9%99%90%E3%81%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%92%E6%84%8F%E5%91%B3%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%EF%BC%88%E4%BE%8B%E3%81%88%E3%81%B0%E3%80%81%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%80%81%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%A2%E3%81%AA%E3%81%A9%EF%BC%89%E3%80%82

 

 ※※マタイ効果:これは聖書から

 「富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる」 という、経済的な好循環と悪循環を示す法則」等と説明される↓

 マタイ効果とは?マタイ効果を逆利用して成功する方法 (uteimatsu.com)

 

 結論をいればナショナリスト国粋主義者は悔しいだろうが「もはや攻勢は終わった」という事実は受け入れるほかない。

 その上で、何をするかだ。

 意味の無いヘイトや陰謀論の世界に生きることや、歴史を修正しようということに労力を費やすべきではない。

 

 また、経済成長を諦めるべきでもない。海外ヘイトや陰謀論、歴史戦を行うものは、ある種敗北主義者といえるだろう、ある意味ヘイト戦に敗北はない。精一杯ヘイトとすればよいだけだ。これが実体的勝負がつく場面となると、所謂ネットウヨすら敗北主義者になる。

 

 あまりよい例ではないが韓国右派からの日本へのサイバー攻撃時、迎撃したのはまさかの2ちゃんネラーであり、モエと腐女子で韓国人をお迎えというていたらくであった。まあ、韓国側も人員は集めたがターゲティングが出来ておらず、誤爆が多く、さらに攻撃していたサーバーがアメリカにあったのでFBIの方が出動という、様々トホホだったが・・・。

 で、ネットウヨは何をしていたかというと、一部は韓国に反撃を!!と騒ぐだけ騒いだが、有効な攻撃は出来なかったようである。ええっと「ネットウヨ」はネット右翼でしたよねぇ・・・。というところだが、ある意味遵法意識があって素晴らしいといえるが散々ヘイトはしても実力が試される戦闘(これはある種のサイバー戦闘)には出撃してこないようである。

 良い悪いは別として自ら前線で文字通りの戦闘を行う白人系右派(ウクライナでも活動中)、ロシアの右派系作家(自身で銃をとって前線へ)や数々の右派系宗教団体(イスラムからキリスト、仏教、何でもあり)、韓国右翼もサイバー限定だが戦闘してきているといえるだろう。

 ※白人系右派についてはこちらも参考

 ウクライナ危機の影の主役――米ロが支援する白人右翼のナワバリ争い(六辻彰二) - 個人 - Yahoo!ニュース

 これらとは相当性質が異なる・・・ようは口だけといえる。。

 念のため、韓国からの攻撃はこちら

 韓国ドメインからの2ちゃんねるへのサイバーテロ事件 - Wikipedia

 「しかし、これらの反撃の規模は韓国から日本へ行われたものの半分にも満たなかった。」というように半分にもというものすら誇張と言われる。戦火は例えば・・・韓国政府のサイトが「5分間、しばらく遅いだけだった。」等である。

 尚、現在のサイバー戦は場合によっては一人ででも大きな戦果を上げることが出来る

 例えばこんなことも

 北朝鮮にハックされて頭にきたセキュリティ研究員がしかえし→北朝鮮全土ネット遮断 | ギズモード・ジャパン (gizmodo.jp)

 個人でも

 ハッカーはこうして生まれた…ハッキングの歴史:らばQ (labaq.com)

 かなりのことが出来ることがわかります。

 

 そんな中、これといった反撃も出来ないのが「ネットウヨ」といえる。

 とはいえ、遵法意識があることは結構なこと。単なる技術不足や戦闘に出るということが出来ない敗北主義なだけのような気もするが、ここは日本人は遵法意識が高いからという事としておこう。

 

 この例はよくない例であり、日本人は個別戦闘などしない、集団で合法、もといい空気がそういうときのみ戦うといえばそうだろう。

 

 と擁護しても彼らの敗北主義は変わらない。

 

 結局衰退途上国で衰退に身を任せるのみである。 

 

 右派、ナショナリスト国粋主義者等は、無意味な反撃にならないヘイトや歴史修正、陰謀論にふけるより、より建設的な事をすべきであろう。

 

 例えば、日本語を広める活動や、海外文献の翻訳(これは日本語を豊かにするという側面もある。また日本語で様々なことを読めることは国粋的な視点からも有益だ)、消滅しそうな文化の保護と日本への取り込み等々。

 

 

 

 そしてそんな中ある一方では大日本帝国は復活しつつある。

 

 報道の自由、空気、これは大日本的で、メディアの自主協力(といいいなが協力になってないのもいつも通り)はまさにそれ。だがそれ以上に理念的な面だろう。

 

 一般的には概念的な事をいわれるが、私見では違う。

 街を見てみよう、たくさんの外国人がいる。コロナにもかかわらずまだ大勢いる。

 そう、実は昔の大日本帝国を支えた「例」のイデオロギーは今頃になって現実化している。

 そのイデオロギーのもとかつての陸軍士官学校及び軍はアジア圏から多くの人材を受け入れていた。蒋介石は有名だが、偉大なる将軍様金日成→ただし本物の方は卒業生として間違いないという発見があるが、北の将軍様になったのはソ連からの替え玉説が今でも有力ではある)もそうであるし元朴大統領(親父の方)も旧大日本帝国士官であった。

 ミャンマー軍の留学の話が批判されたが、彼らにとっては未だ母体である日本はある種宗主国なのであろう(ミャンマー軍の父アウンサン将軍は大日本帝国陸軍→イギリスと大戦終盤で寝返ったが、戦後も日本との関係は続き、裁判時にも味方することも多かった)

  

 指摘者があまりいないが今の状況は大日本帝国下での国粋主義者たちの「例」のイデオロギーに合致する状況(その為むしろ戦前では帝国の人的多様性を誇ることすらあった)であり、この点ではかえって大日本帝国は復活しつつあるといえるだろう。

 「衰退途上国」である日本がそれにも係らず、ある意味で大日本帝国は復活しつつあるというのは興味深いといえるだろう。

 

 この事態は異常でもある。

 

 そして、衰退と同時に帝国化が進むさまはさながらローマ帝国である。

 

 歴史的に地中海の歴史をなぞるようなことが日本で起こるのか?

 それは過去を振り返れば可能性は低いと思う。しかしながら彼らのたどった軌跡を今後の日本のために勉強することはあながち間違いではないと思う。

 

 以上

 軍事的帝国・経済的帝国としての大日本帝国は完全消滅も間際である。しかし、悪名高いが彼らが掲げた一部の思想はある意味、今日状況的に復活しつつある。このもう一つの帝国をどう考えてゆくかは、過去の当該イデオロギーにさかのぼって考える必要性がある。そうでなければグローバルだ、人種的融合だと左翼的概念の様に見えてもそれは大日本帝国の亡霊という可能性があるのだ。