消えゆく大日本帝国、復活しつつある大日本帝国 二つの帝国

消えゆく大日本帝国、復活しつつある大日本帝国 二つの帝国

 

今日は象徴的な日であるが、とうに大日本帝国は歴史のかなたに消えつつある。

 

恐らく、「大日本帝国」という名称すら、近いうちにファンタジー世界の国名だと思われる日も近いだろう。

 

 また、失われた20年いやこの調子だと失われた平成・失われた30年等となるもしれぬ状況では、「軍事力で敗北したが経済力で勝負する、欧米に追い付け追い越せ」というかたちで展開した経済大日本帝国(戦前と戦後の連続性はつとに指摘される通り、結局戦時経済体制・総力戦体制を経済戦争に振り向けた戦後日本はある意味大日本帝国そのもといえた、それはバブル期の狂騒のなかでも発揮された)ももはや消滅して元内閣府参事、京都大学教授の藤井氏がいうような「衰退途上国」となってしまった。

 

 ということで、過去の国粋主義者たちが夢見た、「世界に名だたる日本」は霧消しつつあり、いくつかの将来予測では日本の「メキシコ化」等といわれる、世界でまるで存在感のない国となる事が予測されている。

 

 このような中で、国粋主義者ナショナリストはいかに振舞うか。私見では方向性を失い、ヘイトに走ったように見える。

 

 ここで注意したいことは、保守主義帝国主義膨張主義を含めるというかそれと=とすることは問題があるしましてナショナリズム国粋主義と=とすることも問題がある。とはいえ両者は混同されてきている面もある。

 

 ここで提唱している「ペンギン主義」はこれらとは全く異なるため注意してほしい。むしろ、ペンギン系女子が空は飛べなくとも・・・というキャッチフレーズとともに現れたようにペンギン主義ももはや飛べなくなった日本において、それでもつつましく、芯をもって、控えめにでも自己主張をしつつ、(革命理論のような一発逆転を目指すのではなく)順次改良によって少しでも状況をよくしてゆこうという主義主張である。

 

 経済成長を放棄することは妥当とは思えないが、「もはや攻勢は終わった」ということを認識し、右派・保守主義系は古い大日本帝国とは決別を図る必要性がるだろう。とはいえ、それは左翼的な大日本帝国の全否定ではない。連続性は連続性として、その膨張主義帝国主義ナショナリズム(の一部)を否定すればよいだけである。

 

 一方、上記のように記したが、ある一方では大日本帝国は復活しつつある。

 一般的には概念的な事をいわれるが、私見では違う。

 街を歩こう…。すると旧大日本帝国勢力圏の今は外国となった人々に沢山出会う。大学にいこう…やはり同じ、たくさんのアジア圏からの留学生…みな旧大日本帝国勢力圏から来ている。

 そう、実は昔の大日本帝国を支えた例のイデオロギーは今頃になって現実化している。そのイデオロギーのもとかつての陸軍士官学校及び軍はアジア圏から多くの人材を受け入れていた。蒋介石は有名だが、偉大なる将軍様金日成→ただし本物の方は卒業生として間違いないという発見があるが、北の将軍様になったのはソ連からの替え玉説が今でも有力ではある)もそうであるし元朴大統領(親父の方)も旧大日本帝国士官であった。

  

 一部の左翼系アカウントが「安倍晋三を支持する右翼の皆さん、おかしいですよね安倍は外国人の移民を促進して美しい日本を破壊しようとしています。右派の立場からでも許せないはずですが、それでも支持するのですか!?」という反政権メッセージを送っていたが、その反面で「アベは大日本帝国の復活を目論む輩だ」とも攻撃している。

 大日本帝国の復活を目論むのであれば、むしろ(特にアジア圏からの)移民に積極的になるはずであり、例のイデオロギー的に、帝都日本にアジア圏から人が集まることは大歓迎のはずである。

 

 いかに彼らが大日本帝国とそれにかかわった国粋主義イデオローグたちを理解していなかったかは明らかであるが、ある意味これは混乱を招くのでやむ得ない面もある。

 

 脱線したが、サヨク陣営の主張とは裏腹に、まさに復活しつつある大日本帝国とは、このアジア圏からの人の流入状態であるといえる。指摘者があまりいないがこの状況は大日本帝国下での国粋主義者たちの例のイデオロギーに合致する状況(その為むしろ戦前では帝国の人的多様性を誇ることすらあった)であり、この点ではかえって大日本帝国は復活しつつあるといえるだろう。これに軍事力的制約等々が解放されたならば、「衰退途上国」と化している日本にも係らず、ある意味で大日本帝国は復活しつつあるといえる。

 

 この事態は異常であると同時に面白い。

 なぜなら衰退と同時に帝国化が進むさまはさながらローマ帝国である。

 

 歴史的に地中海の歴史をなぞるようなことが日本で起こるのか?それは過去を振り返れば可能性は低いと思う。しかしながら彼らのたどった軌跡を今後の日本のために勉強することはあながち間違いではないと思う。

 

 以上

 軍事的帝国・経済的帝国としての大日本帝国は完全消滅も間際である。しかし、悪名高いが彼らが掲げた一部の思想はある意味、今日状況的に復活しつつある。このもう一つの帝国をどう考えてゆくかは、過去の当該イデオロギーにさかのぼって考える必要性がある。そうでなければグローバルだ、人種的融合だと左翼的概念の様に見えてもそれは大日本帝国の亡霊の可能性もある。

 ペンギン主義は、右派・保守主義にまとわりつく大日本帝国賞賛的イメージを乗り越えて(繰り返すが左翼的全否定ではない)、衰退途上国状態での右派・保守主義の有り方を考えてゆくものである。