判例解釈遊び② 豆腐屋事件

 注意:本件は弁護士でも何でも無い人間が自身の学習用に執筆しているのものであり、本件の情報の質に担保はありません。

 

 第二回目は

 豆腐屋事件

 です。

 残念ながら知財高裁の判例集には未搭載らしいです。

 

 参考評釈 こちら

 15_8_2アップ.xdw (hokudai.ac.jp)

 知的財産法政策学研究 15巻(2017)pp341-370 村井 麻衣子

 また百選

pp.10-11

論者:平井佑希

 

 ここでは百選を参考に勉強してゆきましょう。

 

 なお、できるだけ簡単に、厳密性は省いています。

 

 概要と争点:一言で言えば浮世絵を模写して描かれた絵の著作権が争われたものです。

 Aさんが浮世絵を模写して制作した絵が無断で豆腐のパッケージに使用され、それに対してAさんの相続人が裁判をした(Aさんは故人)というものです。

 

 著作権切れの浮世絵をパッケージに使用した場合であれば問題がありませんが、このAさんが作成した絵(以下A絵)に著作権があった場合、これは明確に著作権侵害に当たるものと思われます。

 

 その為、この模写が複製にあたるか、それとも二次創作にあたるかが争われたと言うことです。

 

 結論は、「複製」ということとなりました。

 

 何故か?

 

 それは、創作的な表現の追加がないためであるということだそうだ。

 

 詳しく見てゆこう。

 まず、Aの相続人は2つの主張をしている(簡略化してお送りします)

 主位的主張:①まず浮世絵を見る人によってその浮世絵を見る認識は異なる、②その認識の元個人の主観が入ったかたちで模写を行う。③その為原画にいかに似ていてもこのようなことから創作性が付与される

 予備的主張:A絵は原画と様々な点で異なっており、亡Aによる創作が行われていると考えられる(=その為二次創作だ)。

 

 それに対して裁判所は

 1、原画に新たな創作的表現が加えられている必要性がある

 2,この新たな創作的表現は模写作品に接する者が感じられるような者であれば良い

 3,模写と原画に実質的同質性があれば、模写作成者が模写時に原画をどのように認識しどのようにこれを再現しても原画の創作的表現を再現するためのものであってそれは、模写作成者(=ここでは亡A)の個性が模写作品に表現されているとはいえない。

 

そうして見ると実質的同一性があるので、「複写」

 

 

予備的主張についても

 新たな創作的表現が付与されたと認めることができなければ著作権性を有するということはできない。と単なる本人の技量等々で原画と模写が少々違うこととなっていても、創作的表現付与が無い場合、それは著作物性を有するとはいえないとしている。

 

 ということでやはり「複写」

 という判断でした。

 

 解説によると(要約)

 二次著作物といえるためには、具体的表現の修正・増減、変更があること。新たな思想または感情を創作的に表現したこと。以上2つにより原画の特性を感じられつつも、別の著作物を創作することが必要とのことだ。

 その為、模写作成の過程で、亡Aの個性や好み、洞察力が模写には反映されていると主張されているが、「具体的表現において修正、増減、変更等が加えられていなければならない」(中略)「それにより具体的表現に相違が表れない限り、二次的創作物に当たるとは言えない」とのことだ。

 また、具体的変更があったとしても、その変更等が創作的な表現である必要性があるとされる。単なる技術上(Aの力量上の問題)の相違や創作的でない変更などはこの為複製とみなされる。

 

 具体的表現の変更とその変更点に創作性が無い限り「複製」となり主観的要件・精神的創作行為ではNGということだそうだ。

 

 二次創作する人は(だいたいオリジナルの侵害のことが多いが、作者が容認していると仮定して)この点を注意して、具体的かつ創作的な変更を心がけましょう!

 

 では、