叢書≪制度を考える≫シリーズについて

叢書≪制度を考える≫シリーズ

 

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 日本で最もノーベル経済学賞に近づいた一人である故人である青木 昌彦氏を中心とした、超学際的活動をベースにした叢書である。活動時代は10年以上前に終わっているがまだ準備中の書籍が載っているのは驚いた。

 

 名前の通り、制度とは何か?について非常に多面的な考察を用意した叢書であり、すでにほとんどが品切れで、ものによってはAmazonなどで定価の3倍以上の値がついているものがある。

 幸い、青木氏の書籍はまだ買うことができるほか、グライフに関しては文庫にもなったので購入はしやすくなった。特に中国経済系も充実しているのは大きい。

 

 未だに、制度研究を考える上ではこの叢書は外せないだろう。

 

 先日、ゲーム理論判例解釈の融合はできないかと書いたが、まさに、ここで行われいるようなゲーム理論の活用と、ここの制度運用の結果たる判例、これは制度に制約を受けた個人がいかにして、不あるいは合理的に行動しようとしてどのように訴訟が発生し、それがどうなっていったか。そして、判例はある種の拘束力(法的だけでは無く、判例を元として制度を理解しようとする法学者、そしてそれは結局ここの個人にまで間接的に)が生ずるので、それもある種のソフトロー的な要素も含めて、射程の長さを持つはずだ。

 これらの解析ができれば、制度理解にはまた進むだろうし、ある制度運用したときにどのように制度の間隙を突こうと合理的な個人が動くか、またそのような中でどのように制度が訂正されるか、または訂正を経ずに判例法理で動いてゆくか。非常に射程の長い研究ができるのではないかと思う。

 

 思うだけだけど・・・。