読んでいない本について堂々と語る方法

 うん、その本読んでないよ!!

 と語るのではなく、文字通り語る方法・・・といいながらかなり深い本であり、タイトルがちょっとと思うが、一貫して、読んでいない本を語るにはということで書かれているので、まあ、あっているといえる。

 

 そもそも読むこととは何か?から考察した本であり、ある本を読むことは別な本を読まないこと、目録以外読まないという極端な方法も、全体を把握する上で重要であること、内なる図書館、共有図書館、バーチャル図書館といった単語を用いて、要するに読書経験の主観性及び属人性を説明している。どの位置にその書物があるか、全体から関係性を考察することの重要性を教えてくれる。

 

 まあ、本書では作家を前にして細部には立ち入らずに、褒めること、それも一般的褒め方が良いとあるので、今回はその助言に従って褒めまくることとしたいと思います。

 (もしかすると本書のことはまた書くかも)

 

 ペンギン書評

 

 この本の面白さは、一つ一つの断片にある。どこか任意のページを開いてみよう。どこから読んでも、著者の主張する本の中の「全体性」がいずれかにも凝縮されており、すなわちこの本は、すべてのページがある種の要約であり、また個別であり、全体であり、諸ページとの関係性の中にだけある。これは氏の卓越したパラドックス研究のたまものであり、これにより何者も本書を読んだことがなくとも本書について堂々と語ることができる。著者の内なる図書館に我々は触れることはできないし、我々の内なる図書館は一人一人異なる。よってコミュニケーションは不可能であり、仮想的なバーチャル図書館上での幻想上において交わっていないが交わっていたかのような偽物のコミュニケーションがなされているのみでありまたそれを暴力的に破壊するものは破滅することがよくわかる。要するに本を読まずとも語ることができ、またそういうものであるという事を示し、古典的な読書観を破壊し、読書義務より全人類を永久に解放し読書に革命的影響を残した。これほど偉大な本は、おそらく今後出てくることはないだろう。読書による教養主義は過ぎ去れし過去のものとなり、二度と復活することはない。

 本書は読書に関する新しい啓蒙の書であり、読まれないことによって読まれるという最高のパラドックスを提供する至高の書である。