パンデモ二ウムで生き残ることと良い政策は違う

 昨年退任したジャン=クロード・ユンケル欧州委員会委員長(2014年~19まで在任)がルクセンブルク首相時代に述べた有名な名言(迷言?)がある
「我々は何をしなければならないかわかっている。それをやった後にどうやって再選するかを知らないだけだ」

 

 簡単にいえば正しいことをすると落選するということである。

 

 政策的話をするときにはこの迷名言を念頭におくべきだろう。

 

 実際、複数の現実的書物には(政策的に)正しいことを見つけるよりも実行することが難しいとの趣旨が多い。

 

 例えばマンキュー経済学Ⅰミクロ経済編第4版p.48では、「だが、現実の世界においては、正しい政策を考案することはリーダーの仕事の中の一部、なかでも最も容易な部分でしかない。」とし、それ以外の要素の方が大きいことを述べている。

 

 他も大凡同様である。

 

 結局、パンデモ二ウムの住人たちにとって、重要なことの一つは間違いなく「生き残る」ことである。それだけがほとんど目標といっても良いかもしれない。だいたい生き残らなくては行いたい政策も実行不能である。

 

 となると、良い政策を実行することではなく、生き残るための政策が彼らには必要である。

 

 そのことを念頭においておかなくてはあさっての方向に行く。しばしば政治を語る人間にあり得ない前提や理想論・非現実的なことをいう人がいるがそのような者には注意が必要だ。